じょにかえてじんせいかんじょうのしぜんしゅぎをろんず
序に代えて人生観上の自然主義を論ず

冒頭文

一 私は今ここに自分の最近両三年にわたった芸術論を総括し、思想に一段落をつけようとするにあたって、これに人生観論を裏づけする必要を感じた。 けれども人生観論とは畢竟(ひっきょう)何であろう。人生の中枢意義は言うまでもなく実行である。人生観はすなわち実行的人生の目的と見えるもの、総指揮と見えるものに識到した観念でないか。いわゆる実行的人生の理想または帰結を標榜(ひょうぼう)するこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「近代文芸之研究」1909(明治42)年6月

底本

  • 日本の文学 77 名作集(一)
  • 中央公論社
  • 1970(昭和45)年7月5日