ちゃばなし 12 しょしゅつみしょう
茶話 12 初出未詳

冒頭文

主人の頭を打つ女 むかしは男は月代(さかやき)といふものを剃つたものだが、それは髭を剃る以上に面倒くさいものであつた。伊勢の桑名に松平定綱といふ殿様があつた。気むづかしやで、思ふ存分我儘を振舞つたものだが、とりわけ月代を剃るのが嫌ひであつた。 「我君、だいぶお頭(つむ)が伸びましたやうでございますが……」 家来がかう言つてそれとなく催促しても、殿様は余程気軽な時でないと、滅多

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 完本 茶話 下
  • 冨山房百科文庫、冨山房
  • 1984(昭和59)年2月28日