ちゃばなし 02 たいしょうご(せんきゅうひゃくじゅうろく)ねん |
茶話 02 大正五(一九一六)年 |
冒頭文
風ぐすり 4・12(夕) 蚯蚓(みゝず)が風邪の妙薬だといひ出してから、彼方此方(あちらこちら)の垣根や塀外(へいそと)を穿(ほじ)くり荒すのを職業(しやうばい)にする人達が出来て来た。郊外生活の地続き、猫の額ほどな空地(あきち)に十歩の春を娯(たのし)まうとする花いぢりも、かういふ輩(てあひ)に遭(あ)つては何(なに)も角(か)も滅茶苦茶に荒されてしまふ。 箏曲家の鈴木
文字遣い
新字旧仮名
初出
「大阪毎日新聞」1916(大正5)年4月12日~12月22日
底本
- 完本 茶話 上
- 冨山房百科文庫、冨山房
- 1983(昭和58)年11月25日