やまなし
やまなし

冒頭文

小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈(げんとう)です。 一、五月 二疋(ひき)の蟹(かに)の子供らが青じろい水の底で話していました。 『クラムボンはわらったよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』 『クラムボンは跳(は)ねてわらったよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』 上の方や横の方は、青くくらく鋼(はがね)のように見えます。そのなめらかな天井(て

文字遣い

新字新仮名

初出

「岩手毎日新聞」岩手毎日新聞社、1923(大正12年)4月8日

底本

  • 新編風の又三郎
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1989(平成元)年2月25日