にじゅうろくや
二十六夜

冒頭文

* 旧暦(きゅうれき)の六月二十四日の晩でした。 北上(きたかみ)川の水は黒の寒天よりももっとなめらかにすべり獅子鼻(ししはな)は微(かす)かな星のあかりの底にまっくろに突(つ)き出ていました。 獅子鼻の上の松林(まつばやし)は、もちろんもちろん、まっ黒でしたがそれでも林の中に入って行きますと、その脚(あし)の長い松の木の高い梢(こずえ)が、一本一本空の天(あま)の川(が

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新編風の又三郎
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1989(平成元)年2月25日