けんじゅうこうえんりん
虔十公園林

冒頭文

虔十はいつも縄(なわ)の帯をしめてわらって杜(もり)の中や畑の間をゆっくりあるいているのでした。 雨の中の青い藪(やぶ)を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔(か)けて行く鷹(たか)を見付けてははねあがって手をたたいてみんなに知らせました。 けれどもあんまり子供らが虔十をばかにして笑うものですから虔十はだんだん笑わないふりをするようになりました。 風が

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新編風の又三郎
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1989(平成元)年2月25日