ぶぎょうとにんそうがく |
奉行と人相学 |
冒頭文
大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ)は、江戸町奉行になってから一、二年経(た)った頃、人相と云うことに興味を持ち始めた。 それは、月番のときは、大抵毎日のように、咎人(とがにん)の顔を見ているために、自然その人間の容貌(ようぼう)とその人間の性格とを、比較して考えるようになったのである。 が、大抵の場合、人殺しや、強盗は凶悪な面構えをしているし、かたりやすりは、ずるそうな顔をし
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 捕物時代小説選集6 大岡越前守他7編
- 春陽文庫、春陽堂書店
- 2000(平成12)年10月20日