十月廿七日、晴。急行で午後四時三十分頃に西那須驛に着した。實は、初めてのことで、而も急行は宇都宮(うつのみや)より先きは黒磯でなければとまらぬやうに旅行案内には出てゐたので、正直に黒磯までの切符を買つたのだが、車上で人に教へられて西那須へ下りたのだ。 そこから自動車(乘り合ひ、一人前四圓)で五里半の道を四十五六分で鹽原の福渡(ふくわた)りと云ふ温泉場へ來た。その途々のいい風景は、日が暮れ