「うたねんぶつ」をよみて
「歌念仏」を読みて

冒頭文

巣林子(さうりんし)の世話戯曲十中の八九は主人公(ヒロイン)を遊廓内に取れり、其清潔なる境地より取り来りたる者は甚だ少数なる中(うち)に「お夏清十郎歌念仏」は傑作として知られたり。余は「歌念仏」を愛読するの余(あまり)、其女主人公に就きて感じたるところを有(あり)の儘(まゝ)に筆にせんとするのみ。若(も)し巣林子著作の細評を聴かんとする者あらば、逍遙先生又は篁村(くわうそん)翁が許(もと)へ行かる

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女學雜誌 三二一號」女學雜誌社、1892(明治25)年6月18日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日