さんぽせいかつ
散歩生活

冒頭文

「女房でも貰つて、はやくシヤツキリしろよ、シヤツキリ」と、従兄みたいな奴が従弟みたいな奴に、浅草のと或るカフエーで言つてゐた。そいつらは私の卓子(テーブル)のぢき傍で、生ビール一杯を三十分もかけて飲んでゐた。私は御酒を飲んでゐた。好い気持であつた。話相手が欲しくもある一方、ゐないこそよいのでもあつた。 其処を出ると、月がよかつた。電車や人や店屋の上を、雲に這入つたり出たりして、涼しさうに、お

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻32 散歩
  • 作品社
  • 1993(平成5)年10月25日