けっこんとれんあい
結婚と恋愛

冒頭文

結婚と恋愛に関する一般の観念は其が同意義であり、同じ動機から湧き出し、同じ人間の必要を蓋(おお)ふてゐると云ふのである、大抵の通俗観念と同様にこれも亦事実に基かないで、迷信に基いてゐるのである。 結婚と恋愛は共通な何物をも持つてはゐない。両者はまるで両極のやうに離れてゐる。実際、相互に敵視してゐるのである。勿論ある結婚は恋愛の結果であつた。然し恋愛が結婚に於てのみそれ自身を肯定することが

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第四巻 翻訳
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年12月15日