じょうねつ |
情熱 |
冒頭文
ミルトンは情熱(イムパツシヨンド)を以て大詩人の一要素としたり。深幽と清楚(せいそ)とを備へたるは少なからず、然れどもまことの情熱を具有するは大詩人にあらずんば期すべからず。サタイアをもユーモアをも適宜に備ふるものは多くあれど、情熱を欠くが故に真正の詩人たらざるもの挙(あげ)て数ふべからず。情熱なきサタイアリストの筆は、諷刺の半面を完備すれども、人間の実相を刻むこと難し。ボルテーアとスウ※[#小書
文字遣い
新字旧仮名
初出
「評論 十二號」女學雜誌社、1893(明治26)年9月9日
底本
- 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
- 筑摩書房
- 1969(昭和44)年6月5日