ばくまついしんかいこだん 39 げぼりをはいしきぼりにこしつしたはなし
幕末維新懐古談 39 牙彫りを排し木彫りに固執したはなし

冒頭文

「いやしくも仏師たるものが、自作を持って道具屋の店に売りに行く位なら、焼き芋でも焼いていろ、団子でもこねていろ」 これは高橋鳳雲が時々私の師匠東雲にいって聞かせた言葉だそうであります。 私もまた、東雲師から、風雲はこういって我々を誡(いまし)められた、といってその話を聞かされたものであります。それで、私の脳(あたま)にも、この言葉が残っている。いい草は下品であっても志はまことに高い

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日