かげつのよ
花月の夜

冒頭文

戸を明くれば、十六日の月桜の梢(こずゑ)にあり。空色(くうしよく)淡(あは)くして碧(みどり)霞(かす)み、白雲(はくうん)団々(だん〴〵)、月に近(ちか)きは銀の如く光り、遠きは綿の如く和(やわ)らかなり。 春星(しゆんせい)影(かげ)よりも微(かすか)に空を綴(つゞ)る。微茫月色(びばうげつしよく)、花に映(えい)じて、密(みつ)なる枝は月を鎖(とざ)してほの闇(くら)く、疎(そ)なる一枝(

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆58 月
  • 作品社
  • 1987(昭和62)年8月25日