しゃちゅうゆうかん
車中有感

冒頭文

汽車の旅をして、いちばん愉しいことは、窓にもたれて、ぼんやりと流れてゆく風景を眺めていることである。 いろいろの形をした山の移り変りや、河の曲折などを眺めていると、何がなし有難い気持ちになって、熱いものを感じるのである。 ふっと、一瞬にして通りすぎた谷間の朽ちた懸け橋に、紅い蔦が緋の紐のように絡みついているのを見て、瞬時に、ある絵の構図を掴んだり、古戦場を通りかかって、そこに白

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日