しょせきのふうぞく
書籍の風俗

冒頭文

本も時代によって、さまざまな風俗を成す。前述したように本はいつもその時代の趣味好尚を映じ出している。即ち、僧俗時代、貴族時代、そうした時代の本はやはりそうした時代を明示する姿を以て遺されている。燦爛(さんらん)たる光耀を伴うような、神への尊崇と神への敬順を具象化したような宝玉や金属で飾られた寺院本、紋章や唐草や絡み模様などでけんらんと装われた貴族蔵本などは自ら過剰な、華飾的な此等の生活と風俗を具え

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻87 装丁
  • 作品社
  • 1998(平成10)年5月25日