みどりいろのたいよう
緑色の太陽

冒頭文

人は案外下らぬところで行き悩むものである。 いわゆる日本画家は日本画という名にあてられて行き悩んでいる。いわゆる西洋画家は油絵具を背負いこんで行き悩んでいる。飛車よりも歩を可愛がるような羽目に自然と立ち至る事もあるのである。その MOTIV(モチフ)を考えるとおかしくはあるが、行き悩んでいる当面の事局を眼鏡の焦点に置いて考えると、かなり惨酷なものに見えないでもない。無意味な混雑と危険な

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆7 色
  • 作品社
  • 1983(昭和58)年5月25日