カフェより
珈琲店より

冒頭文

例の MONTMARTRE の珈琲店(カフエ)で酒をのんで居る。此頃、僕の顔に非常な悲しみが潜んでゐるといつた君に、僕の一つの経験を話したくなつた。まあ読んでくれたまへ。 OPÉRA のはねたのが、かれこれ、十二時近くであつた。花の香ひと、油の香ひで蒸される様に暖かつた劇場の中から、急に往来へ出たので、春とはいひながら、夜更けの風が半ば気持ちよく、半ば無作法に感じられた。 AV

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻3 珈琲
  • 作品社
  • 1991(平成3)年5月25日