びぜんてんいちぼう
備前天一坊

冒頭文

一 徳川(とくがわ)八代の将軍吉宗(よしむね)の時代(享保(きょうほう)十四年)その落胤(らくいん)と名乗って源氏坊(げんじぼう)天一が出た。世上過ってこれを大岡捌(おおおかさば)きの中に編入しているのは、素(もと)より取るに足らぬけれど、それよりもズッと前、七十余年も遡(さかのぼ)って万治(まんじ)三年の頃に備前の太守池田新太郎少将光政(いけだしんたろうしょうしょうみつまさ)の落胤と名乗っ

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代大衆文学全集」平凡社、1928(昭和3)年

底本

  • 捕物時代小説選集6 大岡越前守他7編
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 2000(平成12)年10月20日