しょうねんれんめい
少年連盟

冒頭文

暴風雨 雲は海をあっし海は雲をける。ぼうぼうたる南太平洋の大海原(おおうなばら)に、もう月もなければ星もない。たけりくるう嵐(あらし)にもまれて黒暗々(こくあんあん)たる波濤(はとう)のなかを、さながら木(こ)の葉のごとくはしりゆく小船がある。時は三月の初旬(しょじゅん)、日本はまだ寒いが、南半球は九月のごとくあたたかい。 船は一上一下、奈落(ならく)の底にしずむかと思えばまた九天

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号

底本

  • 少年連盟
  • 少年倶楽部文庫、講談社
  • 1976(昭和51)年4月16日