かべのめのかい
壁の眼の怪

冒頭文

一 寛政(かんせい)五年六月中旬の事であった。羽州(うしゅう)米沢(よねざわ)の典薬勝成裕(かつせいゆう)が、御隠居上杉鷹山(うえすぎようざん)侯(治憲(はるのり))の内意を受けて、一行十五人、深山幽谷に薬草を採りに分け入るという、その時代としては珍らしい計画が立てられた。 その最終の目的地点は東北の秘境、本朝の桃源にも比べられている三面谷(みおもてだに)であった。 三面

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集4 怪異黒姫おろし 他12編
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 2000(平成12)年1月20日