かいいくろひめおろし
怪異黒姫おろし

冒頭文

一 熊! 熊! 荒熊。それが人に化けたような乱髪、髯面(ひげづら)、毛むくじゃらの手、扮装(いでたち)は黒紋付の垢染(あかじ)みたのに裁付袴(たっつけばかま)。背中から腋の下へ斜(はす)に、渋段々染の風呂敷包を結び負いにして、朱鞘の大小ぶっ込みの他(ほか)に、鉄扇まで腰に差した。諸国武者修業の豪傑とは誰の眼にも見えるのが、大鼻の頭に汗の珠(たま)を浮べながら、力一杯片膝下に捻伏(ねじふ)せている

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集4 怪奇黒姫おろし 他12編
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 2000(平成12)年1月20日