いかずちだんぎ
雷談義

冒頭文

一 雷のことをイカヅチと云つて、古事記にも大雷(おほいかづち)、黒雷(くろいかづち)等とあるが私は嘗(かつ)てイカヅチは厳槌(いかづち)で、巨大な槌といふ語原だらうと思ひ、上代人が、彼の響きを巨大な槌を以(もつ)て続けさまに物を打つと考へたその心理を想像したのであつたが、それは素人(しろうと)的な理窟で、実は間違つて居た。『名の意は厳(イカ)なり。豆(ヅ)は例の之(ノ)に通ふ助辞、知(チ)は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1937(昭和12)年8月25~27日

底本

  • 斎藤茂吉選集 第十一巻
  • 岩波書店
  • 1981(昭和56)年11月27日