しけんといきなわ
死剣と生縄

冒頭文

一 武士の魂。大小の二刀だけは腰に差して、手には何一つ持つ間もなく、草履突掛けるもそこそこに、磯貝竜次郎(いそがいりゅうじろう)は裏庭へと立出(たちいで)た。 「如何(いか)ような事が有ろうとも、今日こそは思い切って出立致そう」 武者修行としても一種特別の願望を以て江戸を出たので有った。疾(と)くに目的を達して今頃は江戸に帰り、喜ぶ恩師の顔を見て、一家相伝の極意秘伝を停滞(と

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集1 水鬼他9編
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年10月20日