おさなきとうだいもり
おさなき灯台守

冒頭文

この物語はさほど遠い昔のことでは無い。 北の海に添うたある岬に燈台があった。北海の常として秋口から春先へかけて、海は怒(いか)ったように暴狂(あれくる)い、波の静かな日は一日も無かった。とりわけこの岬のあたりは、暗礁の多いのと、潮流の急なのとで、海は湧立(わきた)ちかえり、狂瀾怒濤(きょうらんどとう)がいまにも燈台を覆(くつが)えすかと思われた。 しかし住馴(すみな)れた親子三

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 童話集 春
  • 小学館文庫、小学館
  • 2004(平成16)年8月1日