ねじくりはかせ
ねじくり博士

冒頭文

当世の大博士にねじくり先生というがあり。中々の豪傑、古今東西の書を読みつくして大悟(たいご)したる大哲学者と皆人恐れ入りて閉口せり。一日某新聞社員と名刺に肩書のある男尋ね来り、室に入りて挨拶するや否(いな)、早速、先生の御高説をちと伺いたし、と新聞屋の悪い癖で無暗(むやみ)に「人を食物(くいもの)にする」会話を仕出す。ところが大哲学者もとより御人好(おひとよし)の質(たち)なれば得意になッて鼻をク

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」読売新聞社、1890(明治23)年4月

底本

  • 懐かしい未来――甦る明治・大正・昭和の未来小説
  • 中央公論新社
  • 2001(平成13)年6月10日