げっせかいばっしょうき
月世界跋渉記

冒頭文

引力に因り月世界に墜落。探検者の気絶 「どうしよう。」 と思うまもなく、六人の月世界探検者を乗せた空中飛行船翔鷲号(しょうしゅうごう)は非常な速力で突進して月に落ち、大地震でも揺ったような激しい衝動をうけたと思うと、一行は悉(ことごと)く気絶して終(しま)った。 そもそもこの探検隊は目下日本で有名な否(いな)世界中に誰知らぬ者もないほどに有名な桂田(かつらだ)工学博士と、これもその道にか

文字遣い

新字新仮名

初出

「探検世界 秋季臨時増刊 月世界」成功雑誌社、1907(明治40)年10月号

底本

  • 懐かしい未来――甦る明治・大正・昭和の未来小説
  • 中央公論新社
  • 2001(平成13)年6月10日