ちんもくのすいへいせん
沈黙の水平線

冒頭文

1 嘗つてそんな船は存在もしていなかったように、何らの手懸りもなく、船全体から乗客、乗組員の全部が、そっくり其の儘、海洋という千古の大神秘に呑まれ去った例は、古来、かなりある。が、この行方不明船のなかでも、ここに述べる客船ワラタ号 The S.S Waratah の運命は、比較的近頃の出来事であり、そしてまた此の種の怪異のなかで最も有名な事件であると言えよう。一万六千余噸の大客船が、文字通り

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界怪奇実話Ⅱ
  • 桃源社
  • 1969(昭和44)年11月10日