いずもてつとやすぎぶし |
出雲鉄と安来節 |
冒頭文
出雲に於ける鉄工業が上古以前からのものであることは、古事記の天叢雲剣の神話によつても想像されてゐるところだ。現在でも、その中心地は、鳥上(とりかみ)の地、すなはち船通山を中心にした隣接地方に在る。その歴史の古いわりには、文献が乏しいやうで、島根県史などをしらべても鉄に関するくはしい記載は見あたらなかつた。たゞ、船通山の北にある能義郡比田村には我国鉱業の祖神として金屋子神社があつて、その主祭神は金山
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 日本随筆紀行第一四巻 山影につどふ神々
- 作品社
- 1989(平成元)年3月31日