こおれるはなよめ
氷れる花嫁

冒頭文

1 (溶明)晴れたる空。輝く十字架——教会の屋根だ。 2 教会。結婚式——青年とその十五になったばかりの可愛(かわい)らしい花嫁と。——花と、音楽と。 3 春の港に浮べる新造船。 4 帆柱の尖端(せんたん)に飜る船旗。——新しき五月の花よ。モンテ・カルロへ! 万歳!——と書かれてある。 5 船室には、青年と可愛い花嫁とがモンテ・カルロへ新婚旅行をするので乗り込んでいた。 6 二人は勿論(

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1927(昭和2)年4月号

底本

  • 新青年傑作選 爬虫館事件
  • 角川ホラー文庫、角川書店
  • 1998(平成10)年8月10日