ねこのじむしょ ……あるちいさなかんがにかんするげんそう…… |
| 猫の事務所 ……ある小さな官衙に関する幻想…… |
冒頭文
軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるところでした。 書記はみな、短い黒の繻子(しゆす)の服を着て、それに大へんみんなに尊敬されましたから、何かの都合で書記をやめるものがあると、そこらの若い猫は、どれもどれも、みんなそのあとへ入りたがつてばたばたしました。 けれども、この事務所の書記の数はいつもただ四人ときまつてゐましたから、その沢山の
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 宮沢賢治全集8
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1986(昭和61)年1月28日