ばくまついしんかいこだん 32 ほんじょいつつめのらかんじのこと
幕末維新懐古談 32 本所五ツ目の羅漢寺のこと

冒頭文

この時代のことで、おもしろい話がある。これは神仏混淆の例証ではありませんが、やはり神仏区別のお布令(ふれ)からして仏様側が手酷(てきび)しくやられた余波から起った事柄であります。 本所(ほんじょ)の五ツ目に天恩山羅漢寺(らかんじ)というお寺がありました。その地内(じない)に蠑螺堂(さざえどう)という有名な御堂がありました。形は細く高い堂で、ちょうど蠑螺の穀(から)のようにぐるぐると廻って

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日