ばくまついしんかいこだん 30 みをひいたときのことなど
幕末維新懐古談 30 身を引いた時のことなど

冒頭文

さて、これから後(あと)の始末をつける段となるのでありますが、急に師匠に逝(ゆ)かれては、どうして好いか方角も付きません。しかし相更(あいかわ)らず仕事だけはやらねばならぬから、まずこの方のことを引き締めて掛かることにしました。 ここでちょっと思い出しましたが妙なお話がある。それは師匠が生前丹精して寛永通宝の中から、俗に「耳白(みみしろ)」という文銭を選(よ)り出しては箱に入れて集めてお

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日