ばくまついしんかいこだん 25 はじめてはくらんかいのひらかれたとうじのことなど
幕末維新懐古談 25 初めて博覧会の開かれた当時のことなど

冒頭文

堀田原から従前通り私は相更(あいかわ)らず師匠の家へ通っている。すると、明治十年の四月に、我邦(わがくに)で初めての内国勧業博覧会が開催されることになるという。ところが、その博覧会というものが、まだ一般その頃の社会に何んのことかサッパリ様子が分らない。実にそれはおかしいほど分らんのである。今日(こんにち)ではまたおかしい位に知れ渡っているのであるが、当時はさらに何んのことか意味が分らん。それで政府

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(平成7)年1月17日