あおうまをみたり 03 あおうまをみたり
蒼馬を見たり 03 蒼馬を見たり

冒頭文

自序 あゝ二十五の女心の痛みかな!細々と海の色透きて見ゆる黍畑に立ちたり二十五の女は玉蜀黍よ玉蜀黍!かくばかり胸の痛むかな廿五の女は海を眺めて只呆然となり果てぬ。一ツ二ツ三ツ四ツ玉蜀黍の粒々は二十五の女の侘しくも物ほしげなる片言なり蒼い海風も黄いろなる黍畑の風も黒い土の吐息も二十五の女心を濡らすかな。海ぞひの黍畑に何の願ひぞも固き葉の颯々と吹き荒れて二十五の女は真実命を切りたき思ひなり真実死にた

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 蒼馬を見たり
  • 日本図書センター
  • 2002(平成14)年11月25日