自序 あゝ二十五の女心の痛みかな! 細々と海の色透きて見ゆる 黍畑に立ちたり二十五の女は 玉蜀黍よ玉蜀黍! かくばかり胸の痛むかな 廿五の女は海を眺めて 只呆然となり果てぬ。 一ツ二ツ三ツ四ツ 玉蜀黍の粒々は二十五の女の 侘しくも物ほしげなる片言なり 蒼い海風も 黄いろなる黍畑の風も 黒い土の吐息も 二十五の女心を濡らすかな。 海ぞひの黍畑に 何の願ひぞも 固