ミケランジェロのちょうこくしゃしんにだいす |
ミケランジェロの彫刻写真に題す |
冒頭文
ミケランジェロこそ造型の権化である。 造型の中の造型たる彫刻は従ってミケランジェロの生来を語るものであり、ミケランジェロの他の営為——土木、建築、絵画、詩歌の類はすべて彼の彫刻家的幽暗の根源から出ている。彼の眼に映ずる世界は一切彫刻的形象としてうけ入れられ、彼の精神の訴は一切彫刻的形象の様相を以て語られる。此の場合に於ける彫刻とは言わば高次の彫刻を意味する。彼の手に成る個々の彫刻は斯(か
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 昭和文学全集第4巻
- 小学館
- 1989(平成元)年4月1日