ちゅうじょうせいいちろうの「かしんしょう」まえがきおよびちゅう
中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註

冒頭文

父は、ものを書くのが特に好きというのではなかったようですが、一般にまめであった性質から、結局はなかなかの筆まめであるという結果になって居たと思います。 一生の間には、事務的な用向ではあるが夥しい度数の旅行をして居りますから、その都度書いてよこした寸簡類がもし今日迄保存されていたら、恐らく大した数にのぼって居たことでしょう。 どういうわけか、父が家族に宛てて書いた手紙類は実に小部

文字遣い

新字新仮名

初出

「中條精一郎」国民美術協会、1937(昭和12)年1月

底本

  • 宮本百合子全集 第二十五巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年7月30日