こがたなのあじ
小刀の味

冒頭文

飛行家が飛行機を愛し、機械工が機械を愛撫するように、技術家は何によらず自分の使用する道具を酷愛するようになる。われわれ彫刻家が木彫の道具、殊に小刀(こがたな)を大切にし、まるで生き物のように此を愛惜する様は人の想像以上であるかも知れない。幾十本の小刀を所持していても、その一本一本の癖や調子や能力を事こまかに心得て居り、それが今現にどうなっているかをいつでも心に思い浮べる事が出来、為事(しごと)する

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 昭和文学全集第4巻
  • 小学館
  • 1989(平成元)年4月1日