くだいめだんじゅうろうのくび
九代目団十郎の首

冒頭文

九代目市川団十郎は明治三十六年九月、六十六歳で死んだ。丁度幕末からかけて明治興隆期の文明開化時代を通過し、国運第二の発展期たる日露戦争直前に生を終ったわけである。彼は俳優という職業柄、明治文化の総和をその肉体で示していた。もうあんな顔は無い。之がほんとのところである。明治文化という事からいえば、西園寺公の様な方にも同じ事がいえるけれど、肉体を素材とせらるる方でない上に、現代の教養があまねく深くその

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 昭和文学全集第4巻
  • 小学館
  • 1989(平成元)年4月1日