わがぶんがくしゅぎょう
わが文学修業

冒頭文

本当に小説の勉強をはじめたのは、二十六の時である。それまでは専ら劇を勉強していた。小説は殆んど見向きもしなかったようである。ドストイエフスキイやジイドや梶井基次郎などを読んだほかには、月月の文芸雑誌にどんな小説が発表されているかも良く知らなかった。その代り、戯曲は実によく読んだ。しかし、それも学者のようなペダンチックな読み方で、純粋戯曲の理論というものをつくりだすためにのみ読んでいたようである。こ

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代文学」1943(昭和18)年4月

底本

  • 定本織田作之助全集 第八巻
  • 文泉堂出版
  • 1976(昭和51)年4月25日