たけだりんたろうついとう
武田麟太郎追悼

冒頭文

武田さんは大阪の出身という点で、私の先輩であるが、更に京都の第三高等学校出身という点でもまた私の先輩である。しかも、武田さんは庶民作家として市井事物一点張りに書いて来た。その点でも私は血縁を感じている。してみれば、文壇でもっとも私に近しい人といえば、武田さんを措いて外にない。いわば私の兄貴分の作家である。そしてまた、武田さんは私の「夫婦善哉」という小説を、文芸推薦の選衡委員会で極力推薦してくれたこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸新風」1946(昭和21)年4月

底本

  • 定本織田作之助全集 第八巻
  • 文泉堂出版
  • 1976(昭和51)年4月25日