たちあがるおおさか ――せんさいよわ
起ち上る大阪 ――戦災余話

冒頭文

この話に「起ち上る大阪」という題をつけたが、果して当っているかどうか分らない。或は「起ち上れ大阪」と呼び掛けるか、「大阪よ起ち上れ」と叫ぶ方が、目下の私の気持から言ってもふさわしいかも知れない。しかし、この一ト月の間——というのはつまり、過ぐる三月の、日をいえば十三日の夜半、醜悪にして猪口才(ちょこざい)な敵機が大阪の町々に火の雨を降らせたその時から数えて今日まで丁度一ト月の間、見たり聴いたりして

文字遣い

新字新仮名

初出

「週刊朝日」1945(昭和20)年4月

底本

  • 定本織田作之助全集 第八巻
  • 文泉堂出版
  • 1976(昭和51)年4月25日