おおさかのかのうせい
大阪の可能性

冒頭文

大阪は「だす」であり、京都は「どす」である。大阪から京都へ行く途中、山崎あたりへ来ると、急に気温が下って、ああ京都へはいったんだなと感ずるという意味の谷崎潤一郎氏の文章を、どこかで読んだことがあるが、大阪の「DAS」が京都の「DOS」と擦れ合っているのも山崎あたりであり、大阪の「DAS」という音は、山崎に近づくにつれて、次第に「A」の強さが薄れて行き、山崎あたりでは「A」と「O」との重なり合った音

文字遣い

新字新仮名

初出

「新生」1947(昭和22)年1月

底本

  • 定本織田作之助全集 第八巻
  • 文泉堂出版
  • 1976(昭和51)年4月25日