ちゃのゆのてちょう |
茶の湯の手帳 |
冒頭文
一 茶の湯の趣味を、真に共に楽むべき友人が、只の一人でもよいからほしい、絵を楽む人歌を楽む人俳句を楽む人、其他種々なことを楽む人、世間にいくらでもあるが、真に茶を楽む人は実に少ない。絵や歌や俳句やで友を得るは何でもないが、茶の同趣味者に至っては遂に一人を得るに六つかしい。 勿論世間に茶の湯の宗匠というものはいくらもある。女子供や隠居老人などが、らちもなき手真似をやって居るものは、固より数限りな
文字遣い
新字新仮名
初出
「馬醉木」1906(明治39)年1月、3月、10月
底本
- 日本の名随筆24 茶
- 作品社
- 1984(昭和59)年10月25日