ちゅうどく
中毒

冒頭文

一 スタンダールは彼の墓銘として「生きた、書いた、恋した」 という言葉を選んだということである。 スタンダールについて語る人は、殆んど例外なしに、この言葉を引用している。まことにスタンダールらしい言葉、スタンダールの生涯を最もよく象徴した言葉だと、人は言う。たしかにその通りであろう。その点に関しては、私にはいささかの異議はない。 しかし、私はスタンダールはこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「新生日本」1946(昭和21)年10月

底本

  • 聴雨・螢 織田作之助短篇集
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2000(平成12)年4月10日