そうしゅんせん
早春箋

冒頭文

まづまづ安着いたしましたこと、ご安心あそばして下さいませ。二日二晩も汽車や船にのりづめでは、臟腑がごちやごちやになつてしまふだらうにと、お母さまはおつしやつて不安さうになさいましたけれど、おもひのほかなんともないものでございます。もつとも初めての長旅なので夫も大変気づかつてくれまして、途中、前便のとほり松島を見物いたし、青森で船のでるのをまつあひだ三時間ほど停車場前の「かぎや」ともうす宿で休み、連

文字遣い

新字旧仮名

初出

「戦時女性 6」1944(昭和19)年

底本

  • ふるさと文学館 第一巻 【北海道Ⅰ】
  • ぎょうせい
  • 1993(平成5)年7月15日