にっき 06 せんきゅうひゃくにじゅうねん(たいしょうきゅうねん)
日記 06 一九二〇年(大正九年)

冒頭文

一月一日  木 夜、一時間((ママ))。 家中が寝静まった、深い夜の沈黙の中に、此の日記の第一頁を書き始める。私の心の中には、今、殆ど言葉で云い表わせないような感動が漲(みなぎ)って居る。総ての者のよき進展の為、総ての者への、豊饒な愛の収穫の為に私は祈を捧げよう。今日、私共を取繞んで居る生活が、常に何事をか欠いたものである事を痛感すればする程、祈願は深大なものに成るのではないだろ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第二十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年5月20日