(一) 或る雪の日の午後。 街の角でばつたり、お麗さんらしい背をした女とすれちがつた。 女は鼠色の角巻を目深に、すつと敏捷に身をかはしたので、その顔は見えなかつた。 ——彼女だ、たしかにあの女にちがひない。 私は断定した、同時にぎくりと何物かに胸をつかれた。 彼女は雪路を千鳥に縫つて、小走りに姿を消してしまつた。 ——あの女の素裸を