ゲーテにおけるしぜんとれきし
ゲーテに於ける自然と歴史

冒頭文

一 ゲーテの歴史に対する関係は単純に規定し得ぬものを含んでゐる。或る者はこの問題に否定的に答へ、ゲーテは歴史的意識を有しなかつたと主張する。そして彼等はその証拠としてゲーテが歴史について折にふれて語つた言葉の中から種々のものを挙げることができる。この関係で知られてゐるのはルーデンとのゲーテの対話である。彼はこの若い歴史家に向ひ、歴史に対する彼の不信、軽蔑をすらも隠すところなく述べた。歴史

文字遣い

新字旧仮名

初出

「ゲーテ研究」岩波書店、1932(昭和7)年5月

底本

  • 新版ゲーテ読本
  • 潮ライブラリー、潮出版社
  • 1999(平成11)6月5日