わたしのかじゅえん
私の果樹園

冒頭文

豊かな果樹園をつくるのは 貴い魂にふさわしい仕事だ。 それは孕める羊が産まぬ間(ま)に 草原から草原へさまよい歩く 遊牧の民のことではない。 泣き叫ぶ声ききながら日の落ちぬ間(ま)に 村から村を襲うて狂う 暴虐な軍隊のことではない。 また次の骰が投げられぬ間(ま)に 町から町をかけめぐる 苛立(いらだた)しい都会人のことでもない。 豊かな果樹園をつくるためには、 たましいの

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 現代日本思想大系 33
  • 筑摩書房
  • 1966(昭和41)年5月30日